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望郷

  • Manabu
  • 2018年1月22日
  • 読了時間: 3分

望郷 湊かなえ

ウミホタルの発光が写っていたのでジャケ買いしました。

妻も好きな作家だったようです。

短編集だったので、毎回ウミホタルは関わらないだろうとは思いながらも、順番に読み進めて行きました。

ジャンルなど気にせずに買ってしまったため、小説だという以外先入観を持たずに読み進めていくと・・・・

衝撃的な展開が!

ネタバレになるので、詳しくは書かないですが、いい意味で騙されました。

どうやら瀬戸内海のとある島を舞台としたいくつかのエピソード集らしい。

「おお ウミホタルが取れるところだなー 著者も子供の頃に見てたのかなー?」

などと考えながら、楽しんでいました。

僕も淡路島や向島(広島)で実際にウミホタルを見たことがあります。

そして『海の星』というタイトルの短編が始まりました。

「絶対にここで出てくるでしょ!!」

そう確信して

高まる期待とともに読み進めて行きます。

本筋とは関係ないので、注目のシーンを書かせてもらいます。

「わあ、海の星が浮かんでいるみたい」

「君に海の星をプレゼントするよ、なーんてね。」

カップルの男が調子良く返す。

ついに来た!

「何が海の星だ!あんなの光が反射してるだけの偽物じゃねえか。」

おっさんはいつもの豪快さを取り戻したかのようにニヤリと笑い、私の足元に置いてあったバケツを取り上げた。海水をくみ上げられるように、取手にロープを結んである。

おっさんは堤防の上に飛び上がり、それを海に投げ入れて、引き上げた。

!!????

あれ? これウミホタル取れなくないか?

嫌な予感が・・・

「見とけよ、洋平。一瞬だからな。」

“一瞬” えぇー これって夜光虫じゃない?

おっさんはそう言うと、真っ黒な海面に向かってバケツの海水をぶちまけた。

青く、青く、青く光る。

それまで見たこともない、透明な青い輝きが海面にキラキラと浮かび、一瞬で消えた。

海の星。

いやいや これ夜光虫ですやん

表紙詐欺かよ!

夜光虫の発光のように一瞬で消えかけた期待を持ちながらその後の本を読了してもやはりウミホタルは出てこず。

あとがきまで読むと、やはり夜光虫をテーマに書かれていたようでした。

完全に表紙詐欺です。

夜光虫しか出てこないのにウミホタルの写真が使われているなんて!許せない!!

一応作者を擁護するなら、作者は夜光虫(渦鞭毛藻類: 光合成ができる動物ブランクトン。)とわかって書いてたけど、編集さんや表紙の絵を選ぶ担当の人が無知なため、ウミホタルを使ってしまった可能性もあるので、一概に著者批判はできない。湊かなえはむしろ被害者だとも言える。

しかし、識字率99%にも関わらず、単細胞生物と甲殻類の区別もできない日本人を作っ

てしまった日本の教育機関および研究者にもその責任はあるのかもしれない。

とりあえず、今日はこれだけ覚えてからページを移動してください。

海水をひっくり返して一瞬(< 1.0 sec)だけ光るのは夜光虫。

青い光の雲がだらーっと(>3 sec)流れ続けたらウミホタル(日本ならウミホタルVargula hilgendorfiiかCypridina noctiluca)です。

夜光虫は渦鞭毛藻類でウミホタルは甲殻類。

そして、湊かなえの望郷にはウミホタルは出て来ません。

注)小説としてはとても面白いです。

夜光虫以外の発光生物は全く出て来ませんでしたが、とても楽しく読ませてもらいました。

 
 
 

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