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  • Manabu

Bon Jour! ISBC2018


発光生物の国際学会(International Symposium of Bioluminescence and Chemiluminescence: ISBC)でフランスにきました。今回は妻と子供も一緒です。

もうすぐパブリッシュになるホタルゲノムプロジェクトの成果を発表してきました。

この学会には2014年@ウプサラ(スウェーデン)と2016年@つくばと参加しているので、今回で3回目です。

知り合いも増えてきて、英語での会話も楽しめるようになったので、アットホームな感じです。

息子も螢の名にふさわしく0歳から学会参加!

パリに滞在中、息子が1歳の誕生日を迎えました。

お城を背景に堂々と構える螢(11.9ヶ月)

Fig.1 お城を背景に堂々と構える螢(11.9ヶ月)

学会発表編

今回はアメリカのTimらとの共同研究の成果、ホタルゲノムプロジェクトの結果を発表してきました。

Preprint Serverには上がっていますが、現在投稿中のこの論文では、3種の発光性甲虫、ヘイケボタルAquatic lateralis (Luciola lateralis)、Photinus pyralis(北米ホタル)、Ignelater luminosus(ヒカリコメツキ)のゲノム・トランスクリプトームを解析しました。

ヘイケボタルは桐蔭学園高校の教諭が15年間も飼育し続けた個体を使わせていただきました。

ゲノム解析には飼育系統を使うというのが、一つの鍵で、このおかげで高いクオリティーのゲノム・トランスクリプトームデータを得られました。

対して、アメリカのホタル・コメツキについては、野生個体を使っています。

Photinus pyralisは今や全世界の医療系の研究者なら知っているホタルルシフェラーゼの元になっている種です。野生種であるため、ヘテロザイゴーシティーがやや高く思うようにアセンブルが生きませんでした。そこで、クラウドファンディングを使ってPacBioシークエンサーを使って、超ロングリードでシークエンスするための資金集めを行いました。

そして、ほぼ全染色体をカバーする超ハイクオリティーのゲノムアセンブルに成功しました。

この研究で見えてきたことは、ホタルの発光に関わる遺伝子のほとんどがホタルの系統に置いて遺伝子重複を起こしているということです。

また、ホタルとヒカリコメツキは独立に発光能力を進化させただろうということです。

ホタルもコメツキも同じルシフェリンの化学構造を持っており、ルシフェラーゼ遺伝子の配列もよくにており、相同な遺伝子だと考えられてきました。

ところが、ゲノム中にはルシフェラーゼに似たような配列がいくつも存在し、遺伝子構造や分子系統解析、ゲノムシンテニー(遺伝子の位置関係)、祖先推定など様々な解析から、ルシフェラーゼは独立に進化したことが支持されました。

ルシフェラーゼの研究は進化(新奇形質の獲得)にとても適しており、ルシフェラーゼ遺伝子を調べるだけで、発光の起源がおよそ辿れます。一方で、基質であるルシフェリンの起源についてはまだ謎のままです。ですが、今回のゲノム・トランスクリプトームのデータを足掛かりにルシフェリン生合成遺伝子を解明できれば、その進化の起源も明らかにできる可能性があります。

また論文がパブリッシュになったら報告します。

懇親会編

懇親会は妻と息子も参加しました。

さすが、会場がフランスというだけあり、クルーズディナー・フランス料理フルコースでした。

ワインやチーズが美味しいのは当然ながら、マッシュポテトですらおしゃれで美味しかったです。

妻もこれだけで、フランスについて来てよかったと言っていました。

軽食で出たISBCロゴ入りマカロン 右上に螢の絵が!

Fig.2 軽食で出たISBCロゴ入りマカロン 右上に螢の絵が!

友人編

国際学会に参加する意義の最も重要なことは、研究者とのコネを作ること。

優秀な同世代の研究者やPIと話し、実験に関するアドバイスを受けたり、与えたり、次はどんな研究をするかや、ポスドク先をどこに行くかなどを、世界規模で情報交換することができます。

また、その後もメールやSNSで連絡を取り合うことで、知らない間に研究が被って、競争相手になってしまうというリスクも避けることができます。むしろ、共同研究を組むことで、研究を加速させることに繋がります。

実際、僕のMBARIでの研究テーマと被っている人がいるらしいという情報を数ヶ月前にもらい、彼が今回のISBCにも来るらしいとのこと。

緊張しながら彼のポスターを聞きに・・・

結果は、大成功!

これから一緒に研究していこうという共同研究が生まれました。

もう一つ嬉しいことがありました。

Warrenというアメリカ人研究者とはスウェーデンでの学会からの友人です。

彼が日本の学会に来た時に、居酒屋や買い物・観光などを一緒に行動していました。

そこで、通訳などをしてあげていたことをとても感謝してくれて、フランスでは俺に任せろと言わんばかりに通訳を勝って出てくれました。

フランス人はほとんどの人が英語を話せません。看板やメニューもフランス語しかないです。

なので、英語しか話せない僕には全く何も注文できませんでした。

一度、Warrenと席が離れた時に、訳も分からずメニューを指差して頼んだことがありました。

そこにはグリル~~~バーベキューっぽい文字が書かれていたので、ステーキや焼肉みたいなものかと期待していたら、豚ホルモンが詰まったソーセージがおよそ500gでて来ました。

味は臭みが強く、牧場や動物園の味(牧草を食べて出て来たもの)のような味がしました。

箸(フォーク)が進んでいない僕を見かねてWarrenが、どうして僕に相談してくれなかったんだ。といい、とても美味しいレバーパテとバゲットを分けてくれました。

友達は大切にした方がいいです。

もちろん、隣に座っていた妻もソーセージを食べるのを手伝ってくれました。

「ちょっと臭みが強いけど、中身汁で慣れてるから、私には美味しいよ」

(中身汁=沖縄名物のヤギのホルモンの汁物)

と言って半分以上食べてくれました。

結婚してよかった。

観光編

フライトの関係で一日パリに滞在する時間ができました。

ルーブル美術館に行く計画だったのですが、息子に熱が・・・。

1週間の長旅で疲れが出たんだね。

学会の懇親会でもいろんな研究者たちに笑顔を振りまいて営業を頑張ってくれていました。

螢の可愛さは世界で通用することが今回証明されました。

ということで、最終日は、空港近くのホテルでゆっくり。

スーパーに買い物に行くだけでも、ヨーロッパの街を歩くのはとても楽しかったです。

ヨーロッパのいいところは、古い街並みが保存されているところ。

それでも一部、最近建てられた住宅は、日本みたいな近代的な見た目で、周りと合っていない残念なところもありました。

あと、フランスの住宅は道にすぐ玄関があるため、駐車場が家の前にありません。

なので、路駐がとても多いです。せっかくの風景が台無し。

文化を残すことと利便性の確保の両立は難しいですね。

フランスがよく似合う妻

Fig.3 ワインがよく似合う妻

最後に

ようやく渡米後のドタバタが落ち着き、学会も終わったので、また時間があれば、渡米準備やブログを更新して行きます。

七月には深海調査があるので、楽しみにしていてください。

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