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Manabu

クシクラゲの発光

更新日:2020年12月8日


マイアミに来てます。

4月のマイアミはほどほどに熱く海も入れます。例年は多いはずの蚊は、今年は雨がほとんど降っていないようで絶好のタイミングでこれました。

フロリダ州では蚊が媒介する病気が深刻な問題で、なんと、1種の蚊がウエストナイル熱、デング熱、ジカウィルスの3種の病気を運んでるらしい。

その割には、大学生のお姉様方は肌の露出が多いです。けしからん

何をしにきたかというと、クシクラゲの実験をやりにきています。

クシクラゲはクラゲではなくクシクラゲです。

有櫛動物門に属している動物をクシクラゲといい、刺胞動物のクラゲとは全く別のグループで、多細胞動物の中で我々ヒトともっとも遠い親戚だと言われています。(海綿という説もある)

最近はクシクラゲも水族館で展示されるようになってきました。

クラゲとは似てるようで全然違う生き物なので、同じように飼育できないんですね。特に、クシクラゲはポリプ世代はなく、すべて卵から生まれます。

虹色に光る櫛板(しつばん・くしいた)を持っていて、クラゲ好きには人気があります。

でも、クラゲでもないし、それ発光でもないです。

もちろん僕のブログに出てくるということはこれも発光します。

櫛板が虹色に見えるのは反射(iridorescence)で生物発光(bioluminescence)は緑

(青緑)色に光ります。しかもややこしいことに櫛板の下に発光細胞が並んでいます。

「クシクラゲ 発光」でググってもいい写真がないのでここにあげておきます。

本当はこんなに綺麗に光ります。

写真は大西洋に生息するカブトクラゲの一種Mnemiopsis leidyi (ネミオプシス レイディ)※アメリカ英語では最初のMは発音しない。

侵略的外来種で日本には持ち込めないです。

この発光物質はわかっていて、オワンクラゲが持つような発光タンパク質によるものです。

アポ発光タンパク質が基質であるセレンテラジンと結合し、発光タンパク質を作ります。そして、カルシウムイオンと反応することで、発光が起こります。

ホタルなどが使っているルシフェラーゼと大きく違う点は、基質を連続的に代謝しないところです。

クシクラゲの発光タンパク質は使いづらく、なぜなら光によって不活性化します。なぜ?

なので発光タンパク質を抽出するときは、暗室でやる必要があります。

光るタンパク質なのに光に弱いって・・・

まあそんなお茶目なクシクラゲですが、実は発光生物の中で初めてゲノムが読まれたグループでもあります。新化学的に重要なグループですからね。

海に行ったらたくさん見つけられるのに、基本的な動物学レベルのことから全然わかっていない不思議動物です。

この間、お尻の穴が見つかったってので論文が出たレベル。

ゲノム読む前にしっかり観察しろやって思いますよね。

クラゲ・クシクラゲみたいな脆い透明なのをgelatinous planktonって呼ぶんですが、これまでの採集手法(プランクトンネット、トロール)だと船にあげた時にはボロボロになっていて、ほぼ死んでいたんだと思います。

江ノ島水族館や加茂水族館でクラゲを展示できるようになったのも最近の話です。

ちなみに、クシクラゲを飼育できるのは、世界に3箇所だけらしい。

加茂水族館、モントレー湾水族館(Monteray Bay Aquarium)、そしてマイアミ大学。

他のところは海から撮ってきて、死ぬまで展示するパターン(僕はこれをゆっくり殺すと言っています)。次の世代を育てられて初めて飼育できるようになったといえると思います。

ちなみに、水族館で、日本で初めてその生き物の飼育を可能にした場合、動物園水族館教会から繁殖賞が与えられるらしい。大抵飾ってあると思います。

皆さんも次回水族館に行ったら注目して見てください。

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