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  • 執筆者の写真Manabu

浅海性の発光魚について 2 自力発光魚編

更新日:2020年12月8日

浅い海に住む発光魚についてその2です。共生発光魚については前回のブログを見てください。


浅い海にも発光魚はいくつかいます。

今回は浅海(せんかい)性の自力発光魚について説明します。

ちなみに、深海とは200 mより深いところをさし、ここでは、それより浅いところを浅海と定義します。


自力発光魚の発光の仕組み

 発光魚には自分で光っているものと、発光バクテリアの力を借りて光っているものに分けられていました。自力発光魚は、自分の持つ酵素を使って光っており、基質は自前もしくは餌から獲得しています。浅海性の発光魚が使うルシフェリンには、ウミホタルルシフェリンだけが知られています。酵素については、深海魚も含めてこれまで誰も明らかにできていませんでした。バクテリアを使ってないと考えられるが、よくわからん、って奴らが自力発光魚に分類されています。


浅い海に生息する自力発光魚として知られている魚類

ニシン目

カタクチイワシ科 Engraulidae エツ属Coilia


スズキ目 Perciformis (最近の分子系統からスズキ目は多系統性が示唆されている)

ニベ科 Scianidae カンダリ属 Collichthys, キグチ属 Larimichthys, Sonorolux 属(和名無し)


クシスミクイウオ科 Howellidae クシスミクイウオ属 Howella


テンジクダイ科 Apogonidae テンジクダイ属 Apogon, アトヒキテンジクダイ属 Archamia, ツマグロイシモチ属 Jaydia, クロスカシテンジクダイ属 Verulux


ハタンポ科 Pempheridae, ハタンポ属 Pempheris, キンメモドキ属 Parapriacanthus


(注)ツマグロイシモチはApogonクロスカシテンジクダイはRhabdamia属にそれぞれ分類されていたが、現在ではJaydia、Veruluxに変更された。現在のApogon属に発光魚が本当にいるのかは不明。



浅海性発光魚の種類はそんなに多くないですね。

昼間は深海に住み、夜間に表層へ上がってくるような鉛直運動をするハダカイワシやサメなどは除いています。


これらの中で、発光についてまともに研究されているのは、クシスミクイウオHowella, ツマグロイシモチJaydia ellioti , クロスカシテンジクダイVerulux, ハタンポPempheris, キンメモドキParapriacanthus ransonnetiくらいしかありません。

キンメモドキとツマグロイシモチ、クロスカシテンジクダイについてはウミホタルルシフェリンを使っていることが羽根田博士らにより示唆されていました(Haneda & Tsuji, Science 1969)。


クロスカシテンジクダイやツマグロイシモチはあまり獲れないのですが、キンメモドキは群で行動するため、採れると気は一度にたくさん採れるそうです。水族館でも群れで泳ぐ姿が展示されています。


私はこれまでに三重県の志摩マリンランドと神奈川県の横浜・八景島シーパラダイスの協力を得て、キンメモドキの発光の仕組みを研究して来ました。キンメモドキの発光酵素を解明したところ、予想外にもウミホタル のルシフェラーゼ酵素を使っていることが明らかになりました。


図 群れで泳ぐキンメモドキ



盗タンパク質による発光については次回詳しく書きます。

とにかく、結局、キンメモドキからも魚のルシフェラーゼは見つからず、自力発光魚のルシフェラーゼについてはまだどの魚からも見つかっていません。

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